今日のラッキーカラーは赤色、そう聞いて町中にでると消防車、ポスト、信号の赤、赤い洋服を着ている人にいつもより気が付くことありませんか?
これはカラーバス効果(color bath 直訳すると色を浴びる)と呼ばれる効果で、1つのことを一旦意識すると、その後無意識のうちに、自然と情報が自分の所に集まってくる現象をいいます。
人間の脳は、情報が溢れている中で、意識した情報をピックアップして選んでいます。言い換えれば日々何を意識するかによって得られる情報も変わってきます。
ビジネスでも、新しいアイディアがどうしても浮かばないとき、そのことを意識してから本を読む、あるいは街中を歩くと、思わず脳が情報をキャッチして自然とひらめくことがあります。諺に例えると、「果報は“一旦意識して”寝て待て」と言えるかもしれません。
メラビアンの法則とは、矛盾した情報が与えられた場合に、聞き手が何を重要視し、話し手の感情や本心を判断するか、以下の3つの手段に分けて示した法則です。
7%(言語情報) 言葉の意味や 話の内容など | 38%(聴覚情報) 声の大きさや 口調、速さなど | 55%(視覚情報) 見た目や表情 仕草など |
例1:笑顔で叱る
例2:浮かない顔で褒める
上記の例1の場合は、笑顔が優先され相手は反省しません。
また例2は、浮かない顔の印象が強く、喜びを感じなくなってしまいます。相手にうまく伝えるには、これらの矛盾をなくしていかなければなりません。そのために「言語」「聴覚」「視覚」3つの情報を一致させる事が重要です。
イタリアの経済学者であるヴィルフレド・パレートは「全体の数値の大部分は、全体を構成する一部の要素が生み出している」ことを提唱しました。そしてここから所得分布の経験則として、
社会全体の20%の所得者が、所得全体の80%を占めるという法則が導かれました。これをパレートの法則若しくは80対20の法則と呼びます。
この法則は現代のビジネスの様々な分野においても当てはまるとされています。
全商品のうちの20%が、全体の80%の売上を占める
全顧客の 〃 〃
全社員の 〃 〃
費やした時間の20%が、成果全体の80%を占める等
経験則であるため、業種・業態により異なるケースもありますが、事業戦略を立てる際に用いられることも多く、ビジネスでは広く知られている法則です。
米国の教育心理学者ローゼンタールがある実験をしました。ある学校の小学生に普通の知能テストを行い、そのなかの数名の生徒を無作為に選び、「この子たちは将来学力が伸びる。」と根拠のない情報を担任教師に伝えました。
それから1年ほどしたあとで再び知能テストをしたところ、その数名の生徒は明らかに成績が上がっていたということです。このように期待することによって、相手もその期待に応えるようになるという現象をピグマリオン効果とよんでいます。
相手の可能性を信じ、期待を込めて接することで本当にその通りになるという例を、スポーツ、職場、塾などの現場でも実際に見聞きされた方も多いと思います。
人を教育したり指導する立場にある方にとって、効果を得るために有用な方法のひとつかもしれません。
アメリカの心理学者マーシャル・ロサダは、10年間に渡って、業績の良い組織と悪い組織とを研究しました。具体的には、組織のメンバーの言葉や態度をポジティブ(肯定的)な要素とネガティブ(否定的)な要素に区分し、その割合を計測しました。
その結果、業績の良い組織では、ポジティブとネガティブの比率が少なくとも、
2.9013 対1 ⇒ 約3対1
であることを解明しました。この法則は研究者の名前をとって、ロサダライン若しくはロサダの法則と呼ばれます。これを上司が部下に接するケースに当てはめてみると「3回褒めて1回叱る」ということになります。大企業においては、この法則を活用して組織のトレーニングを行うところもあるようです。
アメリカの経済学者のスロヴィックとリヒテンシュタインは、ラスベガスのカジノで下記の実験を行いました。
Q1.次の場合、あなたはどちらのくじを選びますか?
A賞金は低い(1万円)が、もらえる確率は80%
B賞金は高い(10万円)が、もらえる確率は10%
Q2. Q1の宝くじを買うとしたら、どちらに高い値段をつけますか?
その結果、Q1ではAを選ぶ人が多く、Q2ではBに高い値段をつける人が多かったということです。本来であれば、選ぶ人が多い(需要が高い)くじには値段が高くつくはずですが、確率と賞金という基準が異なるケースによって、人は選択を変えてしまう場合(選好逆転)があることをこの実験は示しました。ビジネスにおいては、この選好逆転の法則を活用して、商品を魅力的に見せる場合もあります。
アメリカの心理学者である、エドワード・L・デシは学生に以下のような実験をしました。
【内容⇒ パズルを解いてもらう】
Aグループ⇒ パズルを解くたびに報酬を得る
Bグループ⇒報酬無し
そしてパズルが2問解ける度に、8分間の休憩と称して、学生たちのその後の行動に目を見張りました(ここが本実験のキモです)。
すると、Bグループに比べAグループの方がパズルを続ける人が少なかったという実験結果が出ました。このことから人は内発的に動機付けられた行為(楽しい、人の為になる等)に対して報酬を与えると、かえってモチベーションが下がることが判明しました。これをアンダーマイニング効果と呼びます。
組織内の行動や成果に対して褒賞を与えることはよくありますが、場合によっては、意欲を下げてしまう恐れもあるので注意が必要です。
トロント大学の実験で、「エコな商品を購入した人は、その後に利己的になったり、規則を破るような行動をしやすい」という研究報告が出されました。その他の実験においても“寄付行為をした人は無駄遣いをしやすい”、“男女差別に反対した人が、就職の面接官役になると、途端に差別的な発言をする”という報告がされています。
このように「何か良いことをすると、その後は自分の衝動に任せやすくなる(自分に甘くなる)」現象を、心理学では“モラルライセンシング”と呼びます。「カロリーオフの昼食を取ったのをいいことに、夕食に油っこいものを食べてしまう」とか、「良い演説をした後の夕食会で不適切な発言をしてしまう」というのも、このモラルライセンシングが作用しているといえます。
そしてこの効果は、実際に行動はしなくとも、考えるだけで発動することがわかっています。日常生活において今一度振り返ってみてはいかがでしょうか。
アメリカの心理学者ジョン・ストループは、同時に異なる2つの情報が与えられると、脳が認識するのに時間がかかることを提唱しました。例えば、
赤 青
といったように、色と文字で異なる情報が与えられると、人の脳は混乱し、赤、青の場合と比べて認識するスピードが遅くなります。このような複数の情報が互いに干渉する現象を、心理学ではストループ効果と呼びます。
ストループ効果が生じると、人はそこに違和感を覚え、無意識に注意をそらそうとします。例えば、商品の広告やホームページにおいて、この効果が生じるようなデザインや文字情報が入っていると、消費者は無意識に注意をそらし、その結果、想定していたよりも売上が伸びないというケースもあります。
商品やサービスを消費者から購入してもらうためには、以下の4つのステップが重要とされています。
1.B(Benefit) …顧客にとってのメリット
2.E(Ebidence) …実績、ランキング、評判等
3.A(Advantage) …他社と比較した場合の優位性
4.F(Feature) …商品のラインナップ
この4つの頭文字をとって、BEAFの法則と呼ばれます。
特にモノやサービスが溢れている現在においては、この法則は、消費者にインパクトを与えます。対面販売は勿論のこと、商品に触れることができないテレビ通販やインターネット販売においても、多くの場面で使われています。
その一方で、誇大広告によるトラブルが多発している現状もあります。まずは自社が持つBEAFを検討した上で、消費者へ誠実にアピールすることが不可欠となります。
フランスの哲学者であるドゥニ・ディドロは、知人から立派な衣装をプレゼントされました。
これに喜び、早速自宅に飾ったところ、部屋の家具がとても貧相に見えたため、「衣装に合わせて家具を買い換えた」という逸話があります。このように、満足感を得られるモノが新たに加わった際、そのモノにマッチするように全体の雰囲気を整えていく(購買心理が働く)ことをディドロ効果と呼びます。
車を買い替えた際に、車に合った服装やオーディオを購入するというのは、典型的なディドロ効果であるといえます。また調理器具やインテリア品等、必ずしも高価でなくても、そのモノに対して新たな価値や愛着が生まれる場合には、ディドロ効果が発生する可能性は高いです。売り手側であれば、商品のトーンを統一したり、新商品を斬新なデザインにすることで消費者の購買意欲を高めることができるかもしれません。
アメリカの心理学者のロバート・ザイオンスは、学生への実験を通じて「人は、あるモノやヒトに繰り返し接触することによって、そのモノやヒトに対して好感を抱きやすくなる」という法則を発見しました。これを“ザイオンス効果”あるいは“単純接触効果”と呼びます。
例えば、テレビのCMで、最初に見た時の印象は薄くても、繰り返し見ている内に買いたくなったという経験はないでしょうか。また美容室や衣料品店から、手紙やメールが繰り返し送られてくることで、ふとした際に足を運んでしまうというのも、ザイオンス効果の一例です。
一方で、不愉快な印象を持ったヒトやモノについては、接触頻度が増すごとに、好感度が下がっていくという実験結果も報告されています。大切なことは、相手(顧客)の了承があった上で、会う機会や情報提供の頻度を高めていくことにあるといえます。
ノーベル経済学賞を受賞したアメリカのダニエル・カーネマンは、人は過去の経験を以下の2点によってのみ評価すると提唱しました。
1.ピーク時がどうだったか。
2.最後がどうだったか。
例えば、学生に対して行った
A:冷たい水の中に60秒間手を浸す
B:冷たい水の中に90秒間手を浸すが、最後の30秒間は1℃だけ水温を上げる
という実験では、約80%の学生がBの体験の方が良かった(マシだった)と回答しました。すなわち、Bの方が苦痛が長かったにも関わらず、最後のわずかな違いで、体験の評価が変わってくるということです。
ビジネスで言えば、商談の最後に相手側にメリットとなる提案を行う、飲食店等であれば退店時の“ありがとうございます!” が、ピーク・エンド効果となり、その後の受注の獲得やリピートにつながる可能性があります。
人が決断や行動をする際には、ある種の緊張状態が生まれ、その決断や行動が大きいものであればあるほど、その緊張は高まります。一方、決断や行動が終わった直後は“緊張の糸が切れる”という言葉のように、注意力が散漫になったり、体調を崩したりすることがよくあります。この緊張の糸が切れる状態を心理学では「テンション・リダクション(緊張解消)」と呼びます。
例えば、高価な洋服を買った直後に、小物のバッグを買うとか、重要な商談が決まった後の打ち上げで羽目を外してしまうというのも、このテンション・リダクションが作用しているといえます。実際、ビジネスにおいても、このテンション・リダクションを利用して、“ついで買い”を促す企業も多くあります。
“大きな決断や行動の後にはテンション・リダクションが起こる”と意識することによって、通常の意思決定や適切な健康管理を行うことができます。
アメリカの心理学者であるジョン・バージは、学生たちにテストと称して、問題文中に“疲れる”“重い”“寂しい”といった言葉を散りばめました。
その結果、教室を出ていく際の学生の歩き方が老人のようになっていたとのことです。このように、当初の刺激が、後の行動や感覚に影響を与えることをプライミング効果と呼びます。
プライミング効果は、人の無意識に働きかけるため、私たちは知らず知らずのうちに影響を受けている可能性があります。ビジネスで言えば、上司の話し方が部下や部下が担当するお客様に影響を与えてしまったり、朝の悪いニュースを見て、何となく仕事の気分が乗らないということも、プライミング効果が作用しているといえます。また、この効果を利用して、話し方やプレゼン方法を工夫すると、新たなビジネスチャンスにつながるかもしれません。
パーソナルスペースとは、他人に近づかれると不快に感じる空間(距離)のことであり、アメリカのエドワード・ホール氏はこれを4つのゾーンに分類しました。
パーソナルスペースは、一般的に女性よりも男性の方が広い(男性の方が人との距離を置く傾向にある)と言われています。また、人と触れ合うコミュニケーションが頻繁な欧米人は、日本人と比べてパーソナルスペースは狭いといえるでしょう。パーソナルスペースを意識することで、相手との心理的な距離をはかることができ、ビジネスにも活かせる可能性があります。
心理学者のデニス・リーガン氏は、美術鑑賞の評価と称して、被験者に対して下記のような実験を行いました。
実験:ニセ被験者が一旦席を外れ、戻って来る際に
A:コーラを1本(自分の分だけ)購入してくる。
B:コーラを2本(自分と被験者の分)購入してくる。
そして絵画の評価(名目)が終わった際に、ニセ被験者は、被験者に「宝くじを買わないか?」と持ちかけました。その結果、BのケースはAに比べて購入率が2倍になったとのことです。このように親切にしてもらうと、その相手に対してお返しをしたくなる心理を「返報性の法則」と呼びます。
デパートの試食や“無料プレゼント”等、返報性の法則を利用したビジネスは、様々なところで見受けられます。購入者としては、提供者の親切の意図を読み取り、購入するかしないかの判断を行うこと。提供者側としては、購入者の価値や興味に沿った親切を行うことが重要です。
ドイツの心理学者リンゲルマンは、「綱引き」を通じて人数が個々の能力に与える影響を実験しました。その結果、1対1で綱引きをした場合(100%)と比べて、個々の能力に下記のような数値が導かれました。
2対2 ⇒94% 3対3 ⇒85% 8対8 ⇒48%
上記の実験によれば、人数が多くなるにつれて、1人1人の発揮する能力が下がるということがいえます。言い換えれば、組織が大きくなればなるほど、個々、しいては全体のパフォーマンスが落ちる可能性があるということです。
“誰かがやってくれるから…”や“自分だけが頑張っても…”という思いは、組織で動く以上、少なからず生まれてしまうのかもしれません。ただ、ここで重要なことは、組織の中での個々の役割と責任を明確にすることや、主体的な行動を促すことによって、この法則を回避する方向に社員を導いていくことといえます。
“熱すぎず、冷たすぎず”“大きすぎず小さすぎず”といった「ちょうどよい状態」を、ゴルディロックス効果といいます。イギリスの童話「3匹のくま」に登場する少女の名前“ゴルディロックス”に由来するのですが、株式市場や生態系、宇宙等の天文学においても、この用語はしばしば使われています。
(先日の記事によれば、米国の金融市場は、現在、なんとかゴルディロックスを維持しているそうです)この効果を人間の行動心理から説明すると「極端な選択は避ける傾向にある」ということがいえます。
ビジネスで言えば“高すぎる商品、安すぎる商品”“高性能すぎる商品、低品質な商品”は避けられる可能性があります。寿司屋で「竹」が一番売れるというのも、この心理的な効果の影響が考えられます。
米国のサミュエル・ローランド・ホール氏は、消費者が商品やサービスを購入するには、特定のプロセスがあると考え、これを体系化しました。
①Attention⇒ 商品の存在を知る
②Interest ⇒ 商品に興味を示す
③Desire⇒ 商品を欲しいと思う
④Memory⇒ 商品について記憶する
⑤Action⇒ 商品を購入する
この5つの段階は、各々の頭文字を取って「AIDMA(アイドマ)の法則」と呼ばれます。
自社の売りたい商品やサービスが、AIDMAのどの段階にあるかによって、消費者に対する販売戦略が異なってきます。新商品を出す場合には、売り込むことよりも、まずは知ってもらうことが大切ですし、商品を購入する段階まで来ているのに、長々と商品説明(興味の段階)をしていると、商機を逸してしまう可能性もあります。
アメリカの心理学者であるスティンザーは、会議における人々の位置関係を研究した結果、以下の3つの法則を発見しました。
1.以前議論を交わした相手は、正面に座る傾向がある
2.ある発言が終わった後、その次に発言する人の多くは反対意見を述べる
3.議長のリーダーシップが弱い場合は、参加者は正面の人と話す傾向がある。逆に強い場合は、隣の人と話す傾向がある。
上記の法則は、全ての会議に当てはまるものではありませんが、この法則を意識することで、会議を円滑に進められる可能性があります。例えば、正面に座った人に対しては、反対意見への心構えをしたり、参加者同士の話す状況を見て、会議の流れを変えていくといったことが挙げられます。
社会心理学者のステファン・ウォーチェルは、被験者に瓶の中に入っているクッキーの味について評価してもらう実験を行いました。
Aグループ:瓶にはクッキーが10個入っている
Bグループ:瓶にはクッキーが2個入っている
その結果、Bグループの方がAグループよりも、同じクッキーについて「美味しい」と評価しました。これは、同じモノでも数が少ない方が価値が高い(ように思える)ということを裏付けています。
この法則を希少性と呼びます。「限定○○個」という響きに弱いのは、まさに希少性の法則の典型例といえるでしょう。また、上記の実験では「他の人に食べられてしまった」と伝えた方が、よりクッキーの評価が高かったという結果も出ています。マーケティングにおいて、頻繁に活用される希少性の法則ですが、この法則が働くことによって、モノの本質的な価値が見失われるという懸念もあります。
目標を掲げる際、「絵に描いた餅」にならないようにするためには、以下の5つのポイントが大切です。
S…Specific ⇒ 具体的である。わかりやすい。
M…Measurable ⇒ 測定できる。数値化されている。
A…Agreed on ⇒ 同意している。達成可能である。
R…Realistic ⇒ 現実的である。
T…Timely ⇒ 期限が決められている。
これは、アメリカの著名なコンサルタントであるブライアントレーシーが提唱し、その頭文字を取って「SMARTの法則」と呼ばれています。例えば、単に「売上を増やす」というよりも「4カ月以内に、A部門の売上を前年対比15%アップする」という方が、より明確で、具体的な行動につながる目標といえます。
事実、成長企業やプロスポーツ選手の目標には、この法則が網羅されていることが多く見受けられます。
アメリカの言語学者のJ・K・ジップは、書籍で使用される英単語の頻度を分析し「k番目に大きな要素が全体に占める割合が1/kに比例する」という法則を提唱しました。これは言い換えると、1番と2番と3番を比べると、その割合が1/1 対1/2 対1/3になるというものです。
例:最大手の規模が600の場合⇒ 2番手は300、3番手は200、4番手は150、5番手は120 …
この法則は、人口分布や地震の規模、YahooやGoogle等のウェブ検索の市場占有率といった社会情勢や自然科学にもあてはまるとされています。例えば2011年度の日本の都市人口で見ると、東京23区859万人、横浜市369万人、大阪市267万人で、ほぼジップの法則に該当します。
この法則を経営にあてはめると、人気の高い商品やサービス(特に1番手)が、全体としてより多くのシェアを獲得することになります。中小企業でいえば、地域ナンバーワンを目指したり、大企業が算入しない市場を開拓することが重要な戦略として位置づけられます。
英国の政治学者であるC・ノースコート・パーキンソンは、1955年に下記の法則を唱えました。
「仕事量は与えられた時間を使い切るまで膨張する」
この法則は自国の官僚制度を批判するために提唱されましたが、現在ではビジネスの世界でも広く通用する法則として知られています。
例えば、仕事の期限が決まっている場合、“期限間近になって急いでやる”という経験はないでしょうか。ヒトは未来を予測できるあまりに、“まだ大丈夫”という「ある種の経験則」と“面倒なことは後回しにしよう”という「先延ばしの心理」が働いて、結果として“非効率な生産性”をもたらすことになります。
ただし、この法則は生産性を高めるヒントも教えてくれています。それは「期限を定めれば、仕事量に関わらず終わらせることができる」ということです。この法則に照らせば、多少難しいと思われる期限を敢えて設定することで、生産性の上昇や成果の向上が期待できます。
1920年代にシカゴのホーソン工場で、労働者の生産性の向上に関する実験が行われました。その内容は「照明の明暗が、生産性にどう影響を与えるか」というもので、研究者側は“照明を明るくした方が生産性が上がるのではないか”という仮説を立てて実験を試みました。
しかしながら、結果は「照明の明暗に関わらず、生産性が向上した」というものでした。この意外な結果を踏まえて、さらに調査を重ねたところ、「周囲や上司の関心が高まることが、物理的な要因よりも生産性の向上に寄与する」という結論に至りました。この効果は、工場の名を取って「ホーソン効果」と呼ばれます。
他者から注目されたり、特別な扱いを受けると、一般的にヒトは、期待に応えようとしたり責任感が強くなるものです。その思いや行動が、生産性の向上につながるというのは頷けますし、その原動力となる「仕事に誇りを持てる」組織環境の構築も大切であるといえます。
サンクコストとは“支出した資金等のうち回収できない費用”を言います。本来、回収できないことが明らかであれば、資金や時間の投資を他に振り向けることが賢明です。しかしながら、ここで“もったいない”という心理が働き、投資対象に固執してしまうケースが多々あります。この現象をサンクコスト効果と呼びます。
身近な例としては、福袋に入っていた洋服で自分に合わないモノ。これがサンクコストであり、“捨てるのはもったいないし、いつかは着るだろう”として、結局タンスのこやしになっている(スペースの関係で他の洋服が買えない)。これがサンクコスト効果です。
サンクコスト効果によって無駄な投資や損失が拡大するおそれがあるため、リーダーには事業の進退を決める明確な基準や、客観的な評価が求められます。
小嶋外弘元同志社大学名誉教授は「ヒトが商品やサービスを購入する際には、置かれた状況や価値観に応じて財布の大きさが異なる」ことを提唱しました。これを“心理的財布”と呼びます。心理的財布は
1.何に対して支払うか
⇒ 義務的なモノor 思い入れのあるモノ
2.どのような収入から支払うか
⇒ 自らで働いた収入or 不労所得(臨時収入)
3.どんな方法で支払うか
⇒ 現金で支払うor クレジット払い(分割払い)
4.どんなタイミングで支払うか
⇒ 生活必需品を買った後or 大きな買い物の後
5.どんなシチュエーションで支払うか
⇒ 日常生活or 旅先や気に入った人と一緒に
などによって、その財布の大きさが変わってきます。
心理的財布は、各人によって異なりますが、この心理行動を活用することで、ビジネスを展開したり、自分自身の財布の紐を締めることも可能となります。
PREP法とは、論理的に相手に伝えるスキルの1つとして非常に効果的です。ビジネスでは、シンプルに要点を求められる場面が多く、PREP法を身に着けることで、相手への印象を高めることができます。
P・・・Point 結論を示す
R・・・Reason その理由を述べる
E・・・Example 具体例を挙げて説明する
P・・・Point 再度結論を示す
【例】製造機械の営業担当者のケース「P:貴社には弊社のB製品の導入をおすすめします。」「R:なぜなら導入によって貴社の生産性が高まるからです。」「E:Y社の事例では、B製品の導入によって、24%の生産性の向上を実現しました。」「P:貴社の業種では、その効果がさらに期待できると思いますので、おすすめします。」
PREP法は、セールスやプレゼンは勿論のこと、簡単な自己紹介や社内伝達にも効果的です。そして今回の記事もPREP法を意識して書いております(笑)
アメリカのウィリアム・ハインリッヒ氏が提唱したもので、「1つの重大な事故の裏には29の軽微な事故があり、その裏には300もの"ヒヤリ"とする出来事がある」という法則です。JR福知山線の脱線事故や、シンドラー社のエレベータ事故等は、この法則の典型例であると考えられます。
なお、これを一般的な企業経営に例えると、
1… 大失敗(業績不振・不祥事等)
29… 顧客からのクレーム
300… 社員が気づいた些細な問題点・疑問点
と置き換えられます。
ここで重要なのは、いかに社員が気づいた問題点や疑問点を表面化し、予想されるリスクを未然に防ぐかということであり、そのためにはオープンな社内環境の整備が不可欠といえます。
「ある事柄を繰り返せば繰り返すほど、その確率は理論的な値に近づく」という法則です。
「サイコロを振れば振るほど、各々の目がでる確率は6分の1(均等)に近づく」と言い換えるとわかりやすいかもしれませんね。
もちろん、ここで重要なのは"実際にサイコロを1万回振ってみて、6分の1に近づくかどうかを検証する"ことではありません。というのも、サイコロのように等しい確率で起こる事柄は、私たちの日常生活では、まずあり得ないからです。
肝心なのは"どの程度の回数を経れば、その結果(全体)を予測できるだけのデータを得られるか"ということです。そして、早い段階で結果を予測することができれば、経営上のチャンスの獲得やリスク回避の可能性もグンと高まるはずです。
健康食品を販売する"やずや"ではビラ配布の2時間後には広告効果(売上予測)がわかるとのことですから驚きです。
AとBの2人が、強盗容疑で逮捕されました。しかし決定的な証拠をつかめない警察は、個別の牢屋に入れられている2人に、こう話しました。
B黙秘(強調) | B証言(裏切り) | |
A黙秘(強調) | ( 3年 ,3年 ) | (10年 ,無罪 ) |
A証言(裏切り) | (無罪 ,10年 ) | ( 5年 ,5年 ) |
A・Bにとっては、互いに黙秘する方(3年,3年)が 証言する(5年,5年)よりも得策です。しかし、相手の出方がわからないため(自分だけが黙秘だと懲役10年)、2人とも裏切りを選択し、全体として望ましくない結果を生じさせてしまう・・・これが囚人のジレンマです。 最近の例としては、「核開発問題」や「値下げ競争」などが、この典型であるといえます。
「やろうと思っているんだけど、なかなかやる気がでない…」ということが日常生活でありませんか?
心理学者のエミール・クレペリンは、人間の脳内にやる気と関係する部位(側坐核)があることを発見し、この部位に刺激を与えることで、やる気が引き起こされると提唱しました。
刺激の与え方はとてもシンプルで、まずはとにかく「やり始める」ことなのだそうです。 すなわち、やり始めることによって、初めてその作業をする精神状態(やる気)になるというのです。そしてこの現象は「作業興奮」と呼ばれています。
「最初はやる気が出なかったけど、いざ始めてみると徐々に調子が上がってきた」なんてことは、よくあることです。レナード・ズーニン博士は「最初の4分間で物事の方向付けが決まる」と提唱しましたが、これも作業興奮を裏付けるものと考えられます。
私達は、広告・チラシ・テレビなどで、様々な商品の価格を意識・無意識を問わず目にしています。
しかし、その価格設定の裏側には、私達の心理を巧みに利用したテクニックが使われているようです。
例えば、同じ値引率でも表示の仕方で消費者の"感じ方"が異なります。具体的には、
高級品 →「○○円引き」
低価格品 →「○割引き」や「○%引き」
といった表示の方が消費者は安く感じるとのこと。
また、寿司屋で「特上」「上」「並」の3種類のメニューがあるとすると、出るのはほとんど「上」で、「上」が店側にとって一番利益率が高い商品なのだそうです。
加えて「まとめ売りは安い」という心理を利用した アメリカの実験では「1個25セント」の商品を、他店で「3個89セント」で販売したところ、後者の方が売れ行きが良かったとの報告もされています。
私たちは会話をする際、様々な感覚を駆使してコミュニケーションを取りますが、実は個人個人によって、その使い方に特徴があることをご存知でしょうか。
例えば「運動会」の場面を思い浮かべて下さい。
その際、どのような感覚で運動会を認識しましたか?
1.選手・観客・会場等をイメージした → 視覚タイプ
2.歓声やテーマ曲が聞こえてきた → 聴覚タイプ
3.身体がワクワク・ドキドキした → 体感覚タイプ
アメリカで発達したNLPという学問分野では、人は上記の3つのタイプに分けられ、それぞれの感覚を優先的に使っているとしています。また、タイプの違いは、ミスコミュニケーションを引き起こす原因となるため、相手のタイプを見分け、そのタイプに合わせて対話を進めることが大切であると説いています。
身近な人のタイプを、この際、上記の質問でさりげなく尋ねてみるのも良いかもしれませんね。
どちらを選びますか?直感で答えて下さい。
A 100%の確率で100万円が手に入る
B 50%の確率で200万円が手に入る
Q2. どちらを選びますか?直感で答えて下さい。
C 100%の確率で100万円を支払う
D 50%の確率で200万円を支払う
確率論における"期待値(金額×確率)"から見ると、A~Dのいずれも100万円となり同じです。
しかしながら、カーネマンとトベルスキーは、上記のケースではAとDを選択する人が圧倒的に多いことを実証しました。このことは、人は利益を前にすると「確実性を重視」し、一方で損失を前にすると「ギャンブル志向」に走ることを意味しています。そして、この理論は株式投資の「利確」「損切り」のタイミングの良し悪しとしても、しばしば用いられます
人は心理的な矛盾が生じた場合、無意識のうちにその ストレスを解消する行動を起こします。
例えば、車(A車)を購入した直後に、新開発のB車が販売された場合、「もう少し待てば良かったのではないか?」といった不安(不協和)が生じます。
そこで、この不協和を解消するために、多くの人は
といった行動を起こし、自分の選択を正当化します。
この心理状態をフェスティンガーは「認知的不協和」と名づけました。そして、この不協和が大きければ大きいほど、正当化への圧力は強まるとされています。(例えば、安い買い物より高価な買い物の方が、商品を正当化する傾向が強くなります)
認知的不協和は誰もが持っている心理状態ですが、これに気づくことで自分を客観視することが可能となります。
「達成した課題よりも、未完の課題の方がより記憶に残りやすい」という心理現象をツァイガルニック効果といいます。“うまくいったことより、うまくいかなかったことの方がよく覚えている”というのは、まさにこの効果の代表例といえます。
一方、この効果については、マーケティングの世界においても頻繁に利用されています。そこには消費者に意図的に未完了を作り出すことで、注目や購買意欲を高めようという狙いがあります。例えば、テレビ番組の「続きはCM の後で」によって、視聴者はその番組に釘付けになりますし、書店で「なぜ、○○なのか?」といった問い掛け系のタイトルの本が売れるというのも、このツァイガルニック効果の影響があるものと考えられます。
“失敗の記憶”や“衝動買い”は中々避けられませんが、大切なのは、
最初にある数値や特徴が示されると、それが無意識のうちにある種の基準となり、後の選択に影響を及ぼすことがあります。米経済学者のトベルスキーとカーネマンは下記の研究でこれを実証しました。
『 国連でアフリカ諸国が占める割合は何%か? 』
その結果、ルーレットで65が出た被験者のグループは平均して45%、10が出たグループは平均して25%と回答しました。本来ルーレットの数字は、答えとは全く関係がありません。しかし被験者は無意識のうちにこの数字の影響を受けていたというわけです。
身近な例では、取引交渉やバーゲンセールなどで、この効果が影響を及ぼすといわれています。
投資を行う際に、元本が2倍になるおおよその年数や利回りを計算するために用いられるのが72の法則です。
簿記を発明し、会計の父とも呼ばれるルカパチョーリが提唱したと言われており、この法則は下記のシンプルな式で表されます。
利回り(%) × 期間(年) = 72
例えば、元手100万円を投資して、利率2%の投資商品を購入した場合
72 ÷ 2% =36年
でおよそ2倍(200万円) になります。あるいは10年以内に元本を2倍にしたい場合には、72÷10年=7.2%以上の利回りがある商品を購入する必要があります。
72の法則は、おおよその目安ですので、詳しく知りたい場合には、厳密な計算が必要となってきます。ただ投資関連商品について、営業マンからセールストークを受ける場合などには、頭の中でこの法則を意識していただくと、投資判断の一助となるかもしれません。
アメリカの心理学者バートラル・フォアは、学生たちに個々の心理分析と称して、下記のような分析報告を全ての学生に対し一律に行いました。
(一部抜粋)
その結果、多くの学生が「自分にあてはまる」と高く評価しました。このような「曖昧で一般的な表現を、自分だけに当てはまる正確なものだと捉えてしまう現象」をバーナム効果と呼びます。星座占いや血液型占いで“あるある”と納得してしまうのも、このバーナム効果が多少なりとも働いているといえます。
曖昧な表現は、特に日本人にとっては美徳とされることもあります。バーナム効果が教えてくれる大切なことは、相手がどんな意図を持って伝えているのかを理解することではないでしょうか。
男子サッカーの南アフリカW杯での敗戦や、なでしこジャパンのドイツW杯優勝など、PK戦ほど手に汗握り、時に神頼みをするようなスポーツの場面はそうそう無いと思います。
ただPK戦のデータを科学的な視点から見ると、意外な事実がわかります。
1人目 | 2人目 | 3人目 | 4人目 | 5人目 | |
先攻 | 77% | 69% | 77% | 77% | 89% |
後攻 | 69% | 54% | 54% | 58% | 33% |
( 東海大学准教授鳥越氏によるデータより:%は成功率)
上記の図から、PK戦では先攻が圧倒的に有利、かつ、2人目以降の確率に格段の差(特に5人目)があることがわかります。
「勝負の行方は神のみぞ知る」という考え方もあるでしょうが、データを活用することが実は勝利の女神を微笑ませる近道なのかもしれません。
2002年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンは「人間は同額の利益から得る満足より、損失から受ける苦痛の方がはるかに大きい」ことを提唱しました。
例えば次のケースの場合どちらを選びますか?
A 100%の確率で10万円損する
B 70%の確率で15万円損する(30%は損失ゼロ)
経済学的に考えた場合、Aを選択する人が多いはずなのですが、実際には圧倒的にBを選択する人が多いことをカーネマンは実証しました。そしてさらに驚くことに「損失が大きくなるほど苦痛の度合いが減っていく」ことも明らかになりました。
新たな事業を選択したり、事業の統廃合に踏み切れないケースでは、この損失回避性が影響している可能性があるのかもしれません。